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ホタル情報館 (ホタル情報交換 29:24-25,2007年) 2008年7月13日掲載

◇カエルツボカビ症侵入について
 日本で飼育中のカエルから2006年12月25日にカエルツボカビ症が確認されたということで、緊急事態宣言がだされました。全国ホタル研究会の会員の皆様もホタルの活動の中で水生生物との関わりも多いと思いますので紹介します。
 カエルツボカビ症は真菌の一種である Batracochytrium dendrobatidis によって引き起こされ、致死率が高く(90%以上)伝播力が強いために世界中で猛威をふるい、すでにオーストラリアや中米の両生類が壊滅的な打撃を受けています。また、野外における防除方法は確立されておらず、野外のカエルに流行した場合根絶は不可能で、カエルの個体数が減少したり、絶滅に至る可能性があります。多くのカエル類が減少すると捕食していた昆虫などの増加、カエル類を主な餌としていた上位の捕食者(鳥類やヘビなど)への影響からわが国固有の生態系全体が破壊されてしまう恐れがあります。
 会員の皆様にも下記の事項についてご理解、ご協力頂くとともに、この件についてできるだけ正確に情報を伝えて頂ければと思います。

 地球規模で両生類が絶滅の危機にあることを理解し、むやみに野生の両生類をペットとして飼育することは慎んでください。当面、安全が確認されるまではカエルや淡水エビを購入したり貰ったり、野外からカエルやオタマジャクシを持ち帰ったりしないで下さい。なお、ツボカビは、両生類以外には、人を含めた哺乳類、鳥類、爬虫類および魚類には感染したという報告はありませんので安心してください。すでに飼育している場合、飼育中の個体に異変があれば、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。ツボカビは、水中を浮遊するため、水の管理が最も重要です。死亡したカエルを飼育していた水槽や水は感染源となります。これらの汚水などを排水口や野外に排水することは、禁物です。水槽の排水は漂白剤を入れて15分以上してから下水へ流す様にして下さい。当然のことですが、飼育している個体を野外に放つことや死亡した個体を野外に投棄することは絶対にやめてください。飼育中の個体に異変があった場合には焼却処分とし、野外の両生類との接触を避けてください。また、野外で同時に多数の両生類が死んでいた場合は、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。不必要な生体の採集・持ち帰りは控えてください。また、同じ履き物で、長距離の移動をしない,フィールドで使った履き物は、新聞紙の上で土を落とし、靴底にドライヤーの熱風をあてて、完全に乾かす,カエルツボカビが付着する可能性のある物は、使い捨てするか、使う度に適切に消毒する,などを行って下さい。最後にむやみにカエルには触らないように気をつけて下さい。

 緊急事態宣言は全国ホタル研究会のホームページに掲載しますのでご覧下さい。また、本件に関する詳細な情報(ツボカビ対策解説書、Q&A等)は、次のホームページに掲載されております。

日本獣医病理学会/日本獣医病理学専門家協会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvp/
(社)日本獣医学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/index.html
麻布大学 http://www.azabu-u.ac.jp/
WWFジャパン http://www.wwf.or.jp/chyt2007/
(全国ホタル研究会 編集委員会)

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