ホタルの書籍ガイド その3 (ホタル情報交換 23:38-41,2000年) 2007年1月13日
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 今回は科学啓蒙書,科学普及書等と呼ばれているジャンルで,主に日本で昆虫について書かれた本についての紹介です。

凡例)
 本目録はタイトル,著者名,出版社名,所在地,発行年月,ベージ数,定価,対象読者,簡単な内容紹介の順に並んでいます。
 対象読者は,一般→一般向けとなります。
 絶版の場合は把握できているもののみ対象読者の後に記しました。本によってはまだ流通しているものもあります。定価も必ずしも現在のものとは限りません。

(うた)の中の昆虫たち 虫たちのコミュニケーション
 著者:安富 和男  出版社:三一書房,東京
 1997年4月発行,235pp.,800+税,一般
 ※まえがきに「書名の『詩』は昆虫たちの詩であり,それを詠んだ人間の叙事詩でもある。」とあるように,本書には昆虫を詠った和歌や俳句のが随所にちりばめられている。「ホタル光のコミュニケーション」の一章がある。
  
エンジニアの昆虫学 (新潮選書)
 著者:八木 寛  出版社:新潮社,東京
 1994年4月発行,210pp.,980円,一般
 ※生体工学,医用電子工学を専攻,昆虫実験の医用工学への応用に貢献した著者が,昆虫の体のメカニズムに,エンジニアの目から純粋な興味,関心を抱き,その研究をまとめた書。「T 春はミツバチ……」に「ホタルのラブコール」「ホタルの目」がある。
  
♂♀のはなし 虫
 著者:梅谷 献二/編著  出版社:技報堂出版,東京
 1992年10月発行,214pp.,1,854円,一般
 ※♂♀,つまり子孫を残すという生物の重要なテーマを,「植物」「さかな」「鳥」とともに分類別にまとめられた一冊。本書には「ホタルの光信号」という1話が大場信義氏によって執筆されている。
  
擬態 (だましあいの進化論 1) 昆虫の擬態
 著者:上田 恵介/編著  出版社:築地書館,東京
 1999年12月発行,138pp.,2,400円+税,一般
 ※擬態は生物学の中でも面白いテーマのひとつであるが,これまで日本では擬態現象に取り組む研究者が少なく,あまりよい普及書がなかった。本書は1巻が昆虫の擬態について,2巻が脊椎動物の擬態と化学擬態を扱っていて,1巻に大場信義氏の「驚異の世界,ホタル擬態」が収録されている。
  
甲虫の生活 幼虫の生活をさぐる
 著者:林 長閑  出版社:築地書館,東京
 1986年5月発行,177pp.,1,800円,一般
 ※甲虫の,特に幼虫研究の第一人者である著者が,幼虫の生息環境で項目を分けて,そのくらしぶりの一端を紹介している。「水に棲む虫たち」の中でホタルの呼吸のしくみについて触れている。
  
昆虫誌 −光とはばたきの信号− (東京選書64)
 著者:矢島 稔  出版社:東京書籍,東京
 1981年5月発行,274pp.,1,200円,一般
 ※本書は「部分的に解明できたものですら,驚くほど精巧なメカニズムをもっている」昆虫の生活を,著者がかねがね考えていた「体験に基づいた新しいスタイルの昆虫記」として自らの研究・観察に基づき紹介している。一章がホタルにあてられている。
  
昆虫に学ぶ
 著者:木村 滋  出版社:工業調査会,東京
 1996年4月発行,284pp.,2,060円,一般
 ※昆虫ホルモンの作用機構の研究に従事してきた著者が,昆虫の生理,生化学的な研究を通して,目に見えない昆虫の機能の研究がどのような考えや視点で行われているのか紹介している。「第11話 ホタルの光」がある。
  
生物たちの不思議な物語 化学生態学概論
 著者:深海 浩  出版社:化学同人,京都
 1992年4月発行,206pp.,1,854円,一般
 ※生物の生態や適応を“化学のことば”で語る化学生態学の視点から,生物相互の関係を紹介している。最終話は「化学物質だけが能じゃない」と題して,音や光で交信する昆虫にあてている。
  
ツルはなぜ一本足で眠るのか 〔適応の動物誌〕
 著者:ぐるーぷ・ばあめ/編  出版社:草思社,東京
 1984年6月発行,108pp.,1,500円,一般
 ※本書は「温度と湿度の動物誌」「眠りの動物誌」「すみかの動物誌」「衣服の動物誌」「適応の動物誌」の5章に分けて,各章12種の動物を取り上げ,動物の生態や形態の不思議をそれぞれ専門の研究者が紹介している。第5章・適応の動物誌に中根猛彦氏が「ホタル 湿度を敏感に感じとる触覚のセンサー」を執筆している。
  
動物の博物誌 ホタルからネッシーまで
 著者:矢島 稔  出版社:リバティ書房,東京
 1993年5月発行,210pp.,1,300円,一般
 ※動物園に昆虫園を作った著者が,「昆虫歳時記」「ヒトの伸間たち」「野に山に空に生きる」「素顔の親善大使たち」「生きている化石や希少動物たちの今昔」「うそ?ほんと?空想が生んだ仲間たち」の各章でそれぞれにちなんだ動物を取り上げ紹介している。「昆虫歳時記」にゲンジボタルの1話がある。
  
ヒトと甲虫 (教養学校叢書3)
 著者:林 長閑  出版社:法政大学出版会,東京
 1987年12月発行,173pp.,1,300円,一般
 ※ヒトとの関連を多方面から取り上げ,甲虫類について紹介している書。ホタルは「好かれる虫たち」という一章で紹介されている。
  
へんな虫はすごい虫 もう“虫けら”とは呼ばせない! (プルーバックス1074)
 著者:安富 和男  出版社:講談社,東京
 1995年6月発行,187pp.,680円,一般
 ※「光で狩りをする虫」「ゲンジボタルの方言」「コラム/ホタルが光るしくみ」の章がある。
  
虫のはなしII 虫のコミュニケーション
 著者:梅谷 献二/編著  出版社:技報堂出版,東京
 1985年10月発行,235pp.,1,300円,一般
 ※『虫のはなし』は,はなしシリーズのひとつで,2巻は虫のコミュニケーションについて紹介されており,「螢(ほたる)の光」という1話が梅谷献二氏により執筆されている。
  
虫のはなしIII 虫と人とのかかわり
 著者:梅谷 献二/編著  出版社:技報堂出版,東京
 1985年10月発行,237pp.,1,300円,一般
 ※3巻は虫と人とのかかわりについて紹介されており,「虫愛ずる日本人−ホタルと鳴く虫」の1話が小西正泰氏によって執筆されている。

(全国ホタル研究会 編集委員会)

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