ホタルの書籍ガイド その1 (ホタル情報交換 21:41-45,1999年) 2007年1月13日
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 編集事務局に,地方にいるとホタルの文献についての情報が入りにくいので,情報交換誌で紹介をして欲しいとの要望がありました。ホタル関係の文献としては,ホタルの分類や生態,飼育法,発光機構やその応用,河川改修や生息地の保全・再生などまで含めると膨大な量になり,編集事務局でも把握しきれません。また,専門的な論文は学会誌や博物館・大学等の研究報告書や紀要などに掲載されることが多く,一般書店での入手は難しいので,とりあえず比較的入手しやすい単行本と商業誌について紹介していきたいと思います。また,図書館などで調べられるように,現在絶版になっている書籍についても紹介したいと思います。
 今回は一般および専門家向けに書かれた単行本についての紹介です。

凡例)
 本目録はタイトル,著者名,出版社名,所在地,発行年月,ページ数,定価,対象読者,簡単な内容紹介の順に並んでいます。
 対象読者は,一般→一般向け,専門→専門家向け,教員→主として教員向け,となります。
 絶版の場合は把握できているもののみ対象読者の後に記しました。本によってはまだ流通しているものもあります。
 定価も必ずしも現在のものとは限りません。

学校にホタルが飛んだ 東京都町田市立大蔵小学校の実践
 著者:北村 文治  出版社:日本教育新聞社出版局,東京
 1995年3月発行,196pp.,2,200円,教員
 ※校長として赴任した著者が,ホタルを飛ばしたいと敷地の一角にビオトープを作り,子供達の理科教育や環境教育,情操教育に役立てていく経過を綴っている。
  
金螢 煌めきの里−哲多町
 著者:栗林 慧/写真・文  出版社:哲多町教育委員会(発行),哲多町
 1998年3月発行,40pp.,2,000円,一般
 ※岡山県指定の“金螢”(ヒメボタル)の写真集。市販されていないが,残部があれば哲多町教育委員会で実費で分けてもらえる。
  
ゲンジボタル カメラでとらえたその一生
 著者:古田 忠久・萩原 弘・三矢 和夫/写真・文  出版社:中日新聞本社,名古屋
 1978年7月発行,45pp.,1,200円,一般
 ※ゲンジボタルの一生および岡崎市立河合中学校と保存会の活動を紹介している。ゲン ジボタルの集団産卵が初めて紹介された。
  
源氏螢 生態写真集
 著者:栗林 慧/写真・文  出版社:ネイチャー・ブックス,東京
 1979年5月発行,178pp.,10,000円,一般
 ※昆虫写真の第一人者である栗林慧氏が,大分県の中津無礼川をフィールドにゲンジボタルの生活史を克明に撮った写真集で,資料的価値も高い。
  
ゲンジボタル
 著者:大場 信義  出版社:文一総合出版,東京
 1988年5月発行,198pp.+6pls.,1,800円,一般
 ※ゲンジボタルについて網羅的に解説している。
  
ゲンジボタル 水辺からのメッセージ/信州の自然誌
 著者:三石 暉弥  出版社:信濃毎日新聞社,長野
 1990年7月発行,227pp.,1,700円,一般 〔絶版〕
 ※長野市,特に志賀高原のゲンジボタルを中心にまとめられている。
  
発光生物
 著者:羽根田 弥太  出版社:恒星社厚生閣,東京
 1985年3月発行,318pp.,6,200円,専門
 ※世界的な発光生物の研究者である著者が,長年の研究成果をまとめられたもの。
  
発光生物の話 よみもの動物記
 著者:羽根田 弥太  出版社:北隆館,東京
 1972年7月発行,225pp.+15pp.+4pls.,950円,一般
 ※世界の発光生物について一般向けに書かれている。ホタルを含む発光生物の概要を知ることができる。
  
ヒメボタル/名古屋城外堀
 著者:竹内 重信  出版社:エフエー出版,名古屋
 1985年6月発行,83pp.+4pls.,1,300円,一般 〔絶版〕
 ※1975年の大発生により発見された名古屋城外堀のヒメボタルの20年間の記録。
  
ヘイケボタル 人里の可憐な昆虫
 著者:三石 暉弥  出版社:ほおずき書籍,長野
 1996年4月発行,241pp.,2,000円,一般
 ※ヘイケボタルを対象とした唯一の本。長野市のヘイケポタルを中心にまとめられている。
  
ホタル/復刻
 著者:神田 左京  出版社:サイエンティスト社,東京
 1981年4月発行,496+12pp.,9,800円,専門 〔絶版〕
 ※1935年に自費出版された本の復刻版。ホタルについてあらゆる面から述べられていて,現在も基礎資料として重要。
  
ホタルが先生 ぼくらの環境学校/図解・親子で楽しむ おもしろ選書15
 著者:大場 信義  出版社:ハート出版,東京
 1997年5月発行,78pp.,1,800円,一般
 ※三浦半島の事例を中心に,ホタルを通して自然環境を調べたり,考えたりするためのわかりやすいテキスト。
  
ホタルに学ぶ環境教育の実践
 著者:東条ホタル研究会/編著  出版社:ほおずき出版,長野
 1995年1月発行,145pp.,1,900円,教員 〔絶版〕
 ※長野市立東条小学校のホタルを教材としての学習の実践例が紹介されている。前半は東条地区の概要とそこに生息するホタルについて紹介されている。
  
ホタルの飼い方と観察/図解・親子で楽しむ おもしろ選書5
 著者:大場 信義  出版社:ハート出版,東京
 1993年7月発行,167pp.,1,800円,一般 〔絶版〕
 ※ホタルの飼育法を紹介するとともに,日本産を中心としたホタルが多数紹介されている。
  
ホタルの観察と飼育 グリーンブックス73
 著者:中根 猛彦・大場 信義  出版社:ニュー・サイエンス社,東京
 1981年3月発行,121pp.,650円,一般
 ※前半はホタルの研究法について解説されている。後半はホタルの分類の概要と日本産ホタルについての個別な説明がなされている。
  
ホタルの研究/復刻版
 著者:南 喜市郎  出版社:ニュー・サイエンス社,東京
 1983年5月発行,321pp.+18pp.+12pp.,4,200円,専門
 ※1961年に発行された本の復刻版。ゲンジボタルを中心にヘイケボタル,ヒメボタルについて触れられている。1966年に追記として発行された「ホタルの新しい室内飼育法」も収録されている。神田の「ホタル」と並んで基礎資料である。
  
ホタルのコミュニケーション
 著者:大場 信義  出版社:東海大学出版会,東京
 1986年3月発行,241pp.,2,400円,専門 〔絶版〕
 ※ホタルのコミュニケーション・システムを中心に日本産ホタル類についての概要が記されている。
  
ホタルの里づくり
 著者:自然環境復元研究会/編  出版社:大学図書(発売)
 1991年4月発行,136pp.,2,884円,一般
 ※ T部 ホタル百科,U部 ホタルの里づくり,V部 自然環境復元研究レポートで構成されている。U部では熊本,塩尻,筑後,岡崎などの実践例が紹介されている。
  
ホタルの水,人の水
 著者:遊磨 正秀  出版社:新評論,東京
 1993年6月発行,204pp.,2,500円,一般
 ※ホタルを通して水辺環境について,そして人と水環境との関わりについて論じられている。

(全国ホタル研究会 編集委員会)

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